三条簡易裁判所 事件番号不詳 判決
主文
被告人田巻恒彦を罰金七千五百円に
被告人畠山光栄を罰金一万五千円に夫々処する
右罰金を不完納の場合は被告人田巻恒彦に対しては金二百五十円を
及被告人畠山光栄に対しては金三百円を一日に換算した期間各被告人を労役場に留置する。
訴訟費用は全部被告人等両名の連帯負担とする。
理由
罪となるべき事実
被告人田巻恒彦は昭和十九年三月から南蒲原郡田上村大字羽生田所在田上村農業会理事兼会長に就任し同会の業務一切を統轄し居りたるもの、被告人畠山光栄は昭和二十二年四月右農業会専務理事に就任し、被告人田巻を輔佐して同会の業務一切を遂行したものであるが
第一、被告人田巻は昭和二十年七月二十三日頃から昭和二十二年三月十一日頃迄の間犯意を継続して二十三回に亘り南蒲原郡田上村大字羽生田所在の同農業会事務所に於て同会会員以外の者である田上郷普通水利組合に対し合計百八十五万九千五百四十円を右同農業会の事業の範囲外に於て貸付をなし
第二、被告人田巻は被告人畠山と共謀の上
昭和二十二年四月二十六日頃から同年五月十九日頃迄の間犯意を継続して四回に亘り前記同会事務所に於て右田上郷普通水利組合に対し合計五十三万円を同会の事業の範囲外に於て貸付をなし
第三、被告人田巻は同会の専務理事今井球吾と共謀の上
昭和二十年一月一日頃から昭和二十二年三月五日頃迄の間犯意を継続して十一回に亘り前記同会事務所に於て同会員以外の者である田上村森林組合に対し合計四十六万千八百六十円を同会の事業の範囲外に於て貸付をなし
第四、被告人田巻は被告人畠山と共謀の上
昭和二十二年五月十二日頃より同年六月十七日頃迄の間犯意を継続して前後二回に亘り前記同会事務所に於て合計五万六千円を前記田上村森林組合に対し同会の事業の範囲外に於て貸付をなし
第五、被告人田巻は被告人畠山と共謀の上
昭和二十二年十二月五日頃から昭和二十三年七月十三日頃迄の間、前後七回に亘り前記同会事務所に於て右田上村森林組合に対し別添一覧表の如く合計四十万五千円を同会の事業の範囲外に於て貸付をなし
第六、被告人田巻は今井球吾と共謀の上
昭和二十一年十二月二十八日頃前記同会事務所に於て同会会員外の者である田上郷耕地整理組合に対し一万五千円を同会の事業の範囲外に於て貸付を為し
第七、被告人田巻は被告人畠山と共謀の上
昭和二十二年八月九日頃前記同会事務所に於て五万円を右田上郷耕地整理組合に対し同会の事業の範囲外に於て貸付を為し
第八、被告人田巻は被告人畠山と共謀の上
昭和二十二年十二月十五日から昭和二十三年七月二十一日頃迄の間、前後六回に亘り前記同会事務所に於て合計三十四万三千円を別添一覧表の如く前記田上郷耕地整理組合に貸付を為し
被告人畠山は昭和二十三年八月から設立された田上村農業協同組合理事兼組合長に就任し同組合の業務一切を統轄し居りたるものであるが
第九、被告人畠山は昭和二十三年十月十六日頃南蒲原郡田上村大字羽生田所在の前記田上村農業協同組合事務所に於て同村村長である被告人田巻を介し同組合員以外の者である田上村に対し同組合の事業の範囲外に於て六十八万円の貸付を
夫々為したものである。
証拠(省略)
田上郷地帯の土地改良事業は増産促進の為め唯一の事業であり被告人等両名は何等私利私慾に出でたるに非らず只管増産を念願とし農民の生活の向上経済の発展を計る目的を以て為したるものである事は明かである乍併一面農業会並農業協同組合の財産は概ね会員である土地農民の預貯金を以て構成し其財産を会員外の第三者に対し恣に不当貸付を為すに於ては農業経済、農民の個人生活の破壊を来すの虞なきに非らず、是れ法律が是等の農業会並組合財産の濫費流用を禁止したる所以にして被告人等両名の行為は前述の如く其動機原因に於て情状酌量すべき所あるが他面法律の禁ずる所即ち規範違反を認識しながら而も継続的に犯行を繰返して行いたるの罪責は到底免れ得ないものと謂はねばならぬ。
法令の適用
被告人田巻恒彦の
一、判示第一の所為は農業団体法第六十七条
刑法第四十八条第二項、旧刑法第五十五条
二、判示第二、第三、第四の各所為は農業団体法第六十七条
刑法第六十条、刑法第四十八条二項
旧刑法第五十五条
三、判示第五、第六、第七、第八の各所為は農業団体法第六十七条
刑法第六十条、刑法第四十八条二項
被告人畠山光栄の
一、判示第二、第四の各所為は農業団体法第六十七条
刑法第六十条、刑法第四十八条二項
旧刑法第五十五条
二、判示第五、第七、第八の各所為は農業団体法第六十七条
刑法第六十条、刑法第四十八条二項
三、判示第九の所為は農業協同組合法第九十九条
等に各該当するから所定刑中罰金刑を選択し以上判示全事実は併合罪であるから右列挙の各法律の外刑法第四十五条、同法第四十八条二項により罰金の合算額の範囲内で罰金等臨時措置法を適用し被告人田巻に対しては罰金七千五百円に及被告人畠山に対しては罰金一万五千円に夫々処し右罰金を不完納の場合は刑法第十八条に従い被告人田巻に対しては金二百五十円を及被告人畠山に対しては金三百円を一日に換算した期間各被告人を夫々労役場に留置する。
訴訟費用の負担に付ては刑事訴訟法第百八十一条第一項及同法第百八十二条を各適用して主文の如く判決する。(昭和二六年一月一一日三条簡易裁判所)
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